2007-05-22 胡蝶 詩とか あの蝶は夕暮れの後 夜に沈んでしまうのではなかろうか 僕は眠りの中で鱗粉を呼吸する 朝を越えずに夢のまま 手にかかる水は鮮やかに 皮膚感覚と表題音楽をつないで 一度見た悪夢の内容を覚えている 妹が泣き叫びながら畳の隙間に 目が覚めたことは憶えていない あの魚は空中で 干からびてしまうのではなかろうか 空気を支配する臭気だけがやたら近く 眠らなくても これは夢で 煙草の煙が定義する 流体力学の絶対時空 誰かが全てを知っているような 僕は死なないだろう あの蝶はどこにも飛んでいかないだろう