ステンレススチールに映る色を見て
あなたが「紫」と言ったとき
空気中に拡がる前に
私は「紫」を吸い込み、辿り
あなたの唇に辿り着く
抱き合い、重なり
乳房も、臍も、陰も向かい合えば
(たとえ服越しであっても!)
触れ合えば
あなたの形を変える私の形もまた変わり
二つの輪郭が形作る象形文字に
それでも凹凸の噛み合うことはない、
その逆しまに
夜が落ちてくる

闇の底の部屋の白のシーツの上のあなたの上の

私は
ステンレススチールに映る色を見ても
それを「銀」だと断じよう
あなたのたれ流す液の匂いは
ラベンダーの香りなど吹き飛ばす
皮膚の下で爆ぜるあなたの肉は
外科医の道具でなければ届かない
匂いが想いが私を侵す
あなたはただひたすらに、私も
指と唇と舌と眼球と
交わり互いに吸い込み吐き出す呼吸と
眠りと

昼前の光の下の毛布の中の私の隣のあなた

二人で
包み込む体温と体液の匂いに温んだ空気を払いのけ
新しく纏う香りはお揃いの
銀の容器に入れられたラベンダーの香水の

昨夜寝る前に下書き。今日少女セクト読了。