流星雨の夜に

流星雨の夜に似て
流れ去る光の群れ
網膜に光跡を残し
目を閉じればかすみゆく
内側に傷跡を残し
思い出せば、疼く
過去ということ

光の領域から逸れていくこの部屋で
橙に紅に クロムと鉄と
煙も湯気も 無為に揮発し
見えず煌くワイヤーを手繰り
血に溶けたエーテルを泳いで
あなたの呼吸と運動
その中心に

ささくれとか 促音とか

緑に青に 銅と亜鉛と
海底の泥のように横たわる
引き延ばした時間の
楕円に沿って体を伸ばし
やがて秒針に子午線に
つつかれて起き上がる
身震いして
緑青を落として

髪の毛の先端とか ナツメ球

透明に白濁 鉄と錫
こたつに寝転んで
夜はあなたの重みを欠いて重く
冬は奪うものとして
垂直に円筒形に降る雪が
遠くの犬の鳴き声まで遮っている
この牢屋の中で灯油の焼ける匂いを嗅げば
ただ話す必然性がないという孤独は
より清澄に、歪みの無い幻の真珠に
涙は無重力下の水滴に

真球の静寂を破る

流星雨の夜に似て
弾ける閃光の群れ
記憶に航跡を曳き
目を閉じれば甦る
一秒間だけ踊る映像
それでも疼きは現在にあり
わたしは自分の発した声を聞く

応募しようと思っていた一篇。それにしても全然方向性というやつが定まってませんね。次の一篇は本当にわけのわからないものを上げる予定。