蜘蛛の巣

早朝、部屋のドアを開けると
霧が深く
柵に張られた蜘蛛の巣に水滴がつき
やわやわとした重みに糸はたわみ
曲線に垂れ下がっている

この細い糸にこの小さな水が身を寄せる
朝はまだ冷たい

陽が昇れば、水は
輝きを返し真に透明になる

そのことを少し
惜しむ

読んだ通りですが、今回は少し人に読ませることを意識しました。
僕は理系の考え方も染み着いていて、水が蒸発するのは分子が云々
というようなことをどうしても考えてしまうのですが、削りました。

陽光を受ければ、水は踊り飛び去っていく……

みたいな部分を。
でも、そのせいで水自身のことより僕の考えが前に出てしまったかも
しれません。難しく、面白いものです。