風は

強い風が吹いている
太陽を見つめれば
影を踏み
話している間は聞けず
ここにいる間はどこにも行けず
一秒ごとに一瞬ごとに
未来から現在に、過去に
記憶に変わっていく
君にキスしたい
僕の存在は卑しいようで
僕の体は汚れていて
少しでも濯ごうと
今ここにいない君を思い浮かべ
その澄んだ隔たりを紡ぐ
僕の言葉はやはり卑しく
目の前に立ちのぼる煙草の煙も
分厚く積もるこの空気の層に印を付ける

太陽を見つめ影を踏み
歩き
とりあえず君の視界に入ろう
僕が君を見るときに
君も僕を見ることが出来る
視線は光速で飛び交わし
決して永遠にはならない一瞬にも
強い風は、僕たち二人の
熱を奪いつづけている